『バーン・クルア 凶愛の家』感想
家族を巡る恐怖とタイ映画の魅力
今日は私の凶愛の家であるシネマート新宿で『バーン・クルア 凶愛の家』(原題:Home for Rent)を観ました。ナカデミー賞にノミネートおめでとうございます!
タイのメジャースタジオ“GDH”制作、実話に着想を得たカルトホラーです。経済的理由から家を貸し出した一家が、カルトに巻き込まれ家族の崩壊に直面するという物語。黒呪術やカルトの描写をリアルに描いた一作で、見応えがありました。それでは、印象に残ったポイントをランキング形式で紹介します。
第3位:ちゃんとしてるけど、何も残らない映画
GDHの作品だけあって、映像や演出の完成度は高く、ホラー映画としては文句のつけようがない出来映えでした。黒呪術系の設定やカルトの描写もリアルで、観ている間は不気味さと緊張感をしっかり楽しめました。
身体に乗り移る表現を二つ目の黒目が重なることで表現したり、なかなか良い発明もあったのですが。でも、観終わった後にふと考えたのは「良く出来てるホラー映画から何を得れば良いのだろう?」ということでした。結局親が子を守れなかったというテーマは強烈でして、『グエムル』系のバッドエンドが後味をさらに悪くしていますが、そこに新しい感動や発見があったかというと、正直そうではありません。ただ「怖かったね」「虚しかったね」で終わってしまう感覚があり、良くできているだけに逆にその虚無感が際立った一作でした。
第2位:主演ミュー・ジラヤンユンの美貌と演技
母親役を演じたミュー・ジラヤンユンが本当に素晴らしかったです。タイ映画の役者にはあまり詳しくないですが、彼女の演技力は際立っていました。特に、娘を守ろうと奮闘するシーンでは、母親としての切迫感や絶望感がひしひしと伝わり、スクリーン越しに釘付けになりました。
それに加えて彼女の美貌も印象的。タイ映画では珍しく劇場で観られる映画だったので、ミューのような俳優陣を知ることができたのも嬉しいポイントでした。
第1位:タイ映画であることのレアさ
やはり、この映画がタイ映画であること自体が一番の魅力でした。韓国映画やハリウッド映画ほど日本に入ってこないタイ映画を劇場で観る機会は貴重です。耳に心地よいタイ語の響きや、映画の中で垣間見えるタイの風景が懐かしくて、異国の空気感を味わえました。レアなタイ映画を美味しくいただいた、そんな感じでした。配給会社の人は、もっとタイ映画を見せて下さいねー!
感想まとめ
『バーン・クルア 凶愛の家』は、タイ映画らしい独特の魅力を堪能できる一方で、後味の悪い結末が重く心に残るホラー映画でした。「ちゃんとしたホラー映画」であるがゆえに、観終わった後の虚無感が際立ちます。それでも、タイ映画というレアな体験や、主演ミュー・ジラヤンユンの圧倒的な演技が観る価値を高めていました。
次にまたタイ映画が日本で公開されたら、そのレアさを味わいに劇場に足を運びたいと思います。