『劇映画 孤独のグルメ』感想|スクリーンでも変わらぬ飯テロ
ナカデミー賞ノミネートおめでとうございます!
長年愛されてきた「孤独のグルメ」がついにスクリーンへ。主演の松重豊が監督を務めた本作は、フランス・韓国・長崎・東京を舞台に、井之頭五郎が“究極のスープ”を求めて旅する物語。ドラマのフォーマットはそのままに、映画ならではのスケール感も加わり、新たな五郎ワールドが広がる。
井之頭五郎、究極のスープを求めて世界を巡る
物語の発端は、かつての恋人・小雪の娘・千秋(杏)からの依頼。彼女の祖父・一郎(塩見三省)が「子供の頃に飲んだスープをもう一度味わいたい」と願っていることを知り、五郎はそのレシピと食材を求めて旅に出る。しかし、各地で出会う人々や出来事に巻き込まれ、ただのグルメ探訪では終わらない展開に。
最初に訪れるのはフランス・パリ。異国の食文化に驚きつつも、五郎は変わらず淡々と美味しいものを食べていく。そこでヒントを得た彼は、韓国、長崎、東京と旅を続けながら、スープの秘密を探っていくが、道中では予想外のトラブルや、意外な人物たちとの出会いが待っていた。
気に入ったところベスト3
第3位:オダギリジョーがいつものだらしない感じで登場。しかし今回はいい仕事してくれました。
オダギリジョーが演じるのは、中華ラーメン店「さんせりて」の店主。これまでの彼の役どころ同様、適当そうな雰囲気はそのままだが、今回は意外と重要な役割を果たす。五郎との会話のテンポも絶妙で、彼がいることで映画全体がより味わい深くなっている。
第2位:五郎さんがガラケーなのは、ちゃんとした設定だった。
スマホ全盛の時代に、五郎が未だにガラケーを使い続けているのが妙に気になっていたが、五郎さんはガラケーを愛用しているというキャラクター設定がちゃんとあり、単なる時代遅れではなく、彼の価値観やライフスタイルを象徴するアイテムとして使われていた。ドラマ版から続く細かいこだわりが、劇場版でもしっかり生かされているのが嬉しい。
第1位:いつもの孤独のグルメフォーマットで安心して見れた。
映画になったからといって、全体の雰囲気が大きく変わることはなく、ドラマのフォーマットをしっかり守っていたのが何より良かった。五郎の独白、地味に美味しそうな食事シーン、そして独特のテンポ感は健在。
もちろん、映画ならではのスケール感や、五郎が巻き込まれる少し劇的な展開もあったが、それでも本質は変わらない。どこへ行っても「孤独のグルメ」は「孤独のグルメ」だった。これはファンにとって一番の安心材料。
まとめ
『劇映画 孤独のグルメ』は、ドラマファンにとってまさに理想的な映画化だった。五郎さんがいつものペースで食べ歩きながら、少しだけ大きな物語に巻き込まれていくバランスが絶妙。食べ物の描写はもちろん、各地での人間ドラマや、ちょっとしたユーモアも健在。スクリーンでも変わらぬ「孤独のグルメ」らしさを堪能できたのが何より良かった。
ドラマのファンなら間違いなく楽しめるし、これをきっかけにまたドラマ版を見返したくなった。結局、五郎さんが美味しそうに飯を食っていれば、それで満足なのだ。