ゾンビと祈祷が交錯する悪魔との戦い|韓国ホラー『THE SIN 罪』感想
ナカデミー賞ノミネートおめでとうございます!ナカデミー賞って、自分が好きかどうかもあるけど、自分が物を作る時に影響を受けるか、参考になるかみたいな部分も基準にしてます。
この作品には新鮮なアイデアが詰まっている一方で、物語に少し無理があると感じた部分もありました。その点も踏まえつつ、印象に残ったポイントをランキング形式で、第3位から振り返ります。
第3位:復讐の舞台としての映画撮影の巧妙さ
映画撮影中にゾンビに襲われるスタッフたち。その映画撮影そのものが、悪魔に対する復讐計画の一環だったという設定が面白い。どんどんスケールが大きくなっていく感じ。甥を悪魔に殺された会長が、主人公シヨンを映画撮影の現場に誘い込むために壮大な計画を仕掛けるという展開は非常に見応えがありました。ただ、この復讐計画自体が「シヨンが悪魔である」という前提に依存しているため、その確信を得るプロセスが曖昧に感じられたのは少し惜しかったです。だって悪魔なんて見えないし、悪魔が人を殺した証拠なんてないですからね。
第2位:主人公が悪魔であることの曖昧さ
実は美しいショートカットの主人公シヨンが「思うだけで人を殺せる」という恐るべき力を持っている設定は非常に面白いものの、映画の中で「彼女が悪魔である」と断定される理由に説得力を欠いていました。祈祷師や会長が「彼女こそ悪魔だ」と確信するプロセスは描かれますが、決定的な証拠が示されることはなく、悪魔であることを前提に話が進んでいく展開にはやや無理を感じました。この曖昧さが観客の想像を掻き立てる一方で、物語の核を少し弱めている印象も受けました。
第1位:ゾンビの使い方が秀逸
この映画で最も印象的だったのは、ゾンビが祈祷の一環として活用されるという斬新なアイデアでした。死者を蘇らせ、悪魔に対抗する手段としてゾンビを使用するという設定は、ホラー映画の常識を覆すものです。特に、祈祷師たちが命がけで儀式を進める中でゾンビが絡み合うクライマックスのシーンは圧巻で、映画全体の緊張感を最大限に高めていました。ゾンビという要素をただの恐怖や混乱ではなく、物語の重要なピースとして組み込んだ点が秀逸でした。
総評
『THE SIN 罪』は、悪魔の正体を巡る物語と復讐劇、そしてゾンビを絡めた新感覚の韓国ホラーでした。ただし、主人公を悪魔だと確信するプロセスが曖昧な点にやや無理があり、設定の面で少し引っかかる部分もありました。それでも、斬新なアイデアや緊迫感のある演出には目を見張るものがあり、この映画が与える刺激とインスピレーションは非常に大きなものでした。