『地獄でも大丈夫』感想|復讐と改心が交錯する青春映画
ナカデミー賞ノミネートおめでとうございます!渋谷のユーロスペースで『地獄でも大丈夫』を観ました。
『地獄でも大丈夫』(原題:Hail to Hell)は、いじめや復讐、新興宗教といった重いテーマを描きながら、少女たちの内面を繊細に映し出したガールズバディムービーでした。以下に、自分のために印象的だったポイントを記録しておきます。
第3位:いじめに追い詰められる少女たち
ナミとソヌが、自殺を考えるほど追い詰められた冒頭の描写には胸を打たれた。いじめの過酷さを描きつつ、そこから始まる復讐の旅という動機の過激さに、現実の厳しさや彼女たちの限界を感じた。何かを取り戻すために動き出す姿は印象的だが、彼女たちの方法が常に不安定で危ういのも特徴だった。
第2位:新興宗教の持つ不穏な力
チェリンが「改心」したという新興宗教の存在が、物語全体を不気味な方向へ引っ張っていた。この団体の描写はかなりリアルで、信者たちの異様な雰囲気や施設の閉塞感が印象に残った。ただ、「改心」が本当にチェリンの意志なのか、それとも宗教による支配なのかが曖昧で、その不確かさが物語の緊張感を高めていたのが興味深かった。よく韓国映画に出てくる十字架の宗教です。あれは何なんでしょうか?
第1位:復讐と許しの間で揺れる物語
復讐が目的だったナミとソヌが、チェリンの変化を目の当たりにし、彼女を許すべきか、復讐を続けるべきかで揺れる姿が、この映画の核だった。チェリンを見て「本当に改心した善人なのか?」という疑問を抱きつつも、復讐を諦められない2人の心理が複雑で、結局最後までスッキリとした答えが出ない。その曖昧さが、この物語の良さでもあり、自分の中で考えが残る要素だった。が、最後に乗り捨てた自転車に再び乗るシーンが素敵でした。報われた。
総評
『地獄でも大丈夫』は、復讐と改心というテーマを軸に、いじめや宗教といった要素を絡めた重厚な物語だった。特に、主人公たちが抱える未消化の怒りや葛藤が、最後まで整理されないまま進んでいく点が自分にとって印象深かった。