プロジェクト・サイレンス
ナカデミー賞にノミネートおめでとうございます。ヒューマントラストシネマ渋谷で韓国映画『プロジェクト・サイレンス』を観ました。
橋の崩落、濃霧の事故、有毒ガス、通信障害、そして軍事実験体「エコー」の暴走——次々に危機が襲いかかるパニック映画です。主演は『パラサイト 半地下の家族』のイ・ソンギュン。共演に『神と共に』シリーズのチュ・ジフン、『新感染』のキム・スアンと、実力派が勢ぞろい。監督はキム・デゴン、脚本には『新感染』のパク・ジュスク、『神と共に』のキム・ヨンファが参加し、豪華なスタッフ陣が手がけています。
ただ、要素が多すぎて消化不良というのが正直な感想。面白くなりそうなのに、まとまりに欠ける印象がありました。では、印象に残ったポイントをランキング形式でまとめます。
第3位:橋の崩落パニックの緊張感
パニック映画として、橋の上で起こるカオスな状況は圧巻でした。車の玉突き事故が連鎖的に発生し、救助もままならないまま、状況はどんどん悪化していく。特にヘリコプターの墜落による爆発は、その後の橋の崩壊を決定づける重要なポイントになっていて、一気にサバイバルモードへ突入する感じが良かったです。登場人物たちが極限の状況に追い込まれ、冷静さを失っていく様子にも緊迫感がありました。
第2位:エコーの設定が活かしきれない
軍事実験体「エコー」の登場で、パニック映画からサバイバルホラーへと一気に方向転換。霧の中で忍び寄るエコーの恐怖感は良かったのですが、肝心のエコーの能力や脅威がいまいち分かりにくい。せっかくの設定が中途半端で、もっとシンプルに「橋の崩落+未知の敵の恐怖」に絞れば、緊張感が増したのでは?と思いました。
第1位:イ・ソンギュンの最後の熱演
やはり、本作の見どころはイ・ソンギュンの演技です。国家安保室の行政官ジョンウォンとして、冷静な判断をしながらも、父親としての葛藤を見せる姿に胸が熱くなりました。彼の落ち着いた声と演技が、混乱の中でも物語を引き締めています。これが遺作になってしまったことが本当に惜しまれますが、最後までスクリーンでその魅力を堪能できたことに感謝です。
まとめ
映像のクオリティは高く、設定も面白そうなのに、全体のバランスが悪くて惜しい作品でした。イ・ソンギュンの最後の熱演は間違いなく見どころですが、映画としての盛り上りがもう少し欲しかったです。
