『28年後…』感想メモ・ベスト3:メメントモリの静かな衝撃

28年後…

ナカデミー賞にノミネートおめでとうございます。TOHOシネマズ渋谷で『28年後…』を観ました。

ハリウッド大作のような派手な展開やスリルを期待している人には、たぶん刺さらない作品だと思う。だから、人にはあえて勧めない。けれど『ザ・ビーチ』で人生の指針をもらった自分にとって、アレックス・ガーランドとダニー・ボイルの新作は特別だった。私には必要な映画だった。そして、最高だった。

人間を凶暴化させるウイルスが蔓延した世界。パンデミックから28年後、生き延びた人々は小さな孤島に逃れて暮らしていた。父ジェイミーと、島を出たことのない12歳の息子スパイクは、ある目的のために本土へと向かう。そこで彼らが目にしたのは、人間が人間でなくなった感染者が彷徨う世界だった。

主演はアーロン・テイラー=ジョンソン。共演にレイフ・ファインズ、ジョディ・カマー。シリーズ第1作『28日後…』の主人公だったキリアン・マーフィも製作総指揮として名を連ねている。

これは、派手なサバイバルではなく、まさに「メメント・モリ」の映画だった。

それでは、印象に残ったポイントをまとめる。

第3位:リチャードの亡霊が見えた

『ザ・ビーチ』でサメを仕留めたリチャードの演説を思わせる場面があったのが嬉しかった。ああ、ここからまた崩壊が始まるのか、と静かにゾクッとした瞬間。

第2位:しかし崩壊は起こらなかった

しかし崩壊は起こらなかった。ああ、もうわかりやすいゾンビ映画じゃないのだな、というメッセージが最初に示されたのが嬉しかった。閉鎖されたホームタウンを出て海を渡ると、本土には美しい自然が広がっていた。そしてその中に、一人で佇む医者の姿。まるで『地獄の黙示録』のカーツ大佐のように、不穏で静かな異様さが漂っていた。

第1位:全てが良かった

とにかく、全てが良かった。映像も、音も、空気も。感無量。

評価:★★★★★(大好き!)

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